地域企業のネットワーク戦略
企業のライフステージは、開業に始まり、廃業に終わる。とくに地域においては企業の状況が地域とって大きな意味を持ってくる。地域経営における地域経営主体として重要な役割を果たしているからである。
起業の開業状況―開業率は、2003年の中小企業白書によると、3.7%(94-96)、4.1%(96-99)、3.8%(99-01)と推移している。一方、廃業率は3.8%(94-96)、5.9%(96-99)、4.2%(99-01)と開業率を上回って推移している。企業経営の厳しさ、起業の厳しさを示している。
起業が立ち行かず廃業となる原因をみると、販売不振が57.9%(2002年、東京商工リサーチ「全国企業倒産白書」)となっている。また、創業時において困難ことはなにかという問いには、自己資金不足(49.4%)など「資金面の困難性」の次に、販売先の開拓(34.2%)など「マーケティング面の困難性」を挙げる企業が多い(2002年中小企業白書)。企業にとっては、売り上げを確保することが企業経営の基本であることから当然の結果といえる。企業経営にとってはマーケティング力が大事である。
マーケティングは、顧客に支持されるための創造的適応活動である。マーケティングにおいては、まず顧客に支持される製品・サービス(Product)を作ること・提供することである。その製品・サービスをいくらで(Price)提供するかである。さらにその製品・サービスをどのようなチャネルで提供するか(Place)、立地で提供するかである。そして、製品・サービスをどのように顧客に認識させ購買に結び付けさせていくかである(Promotion)。これらの4つのPが良い循環をもたらすよう工夫していく経営努力が、経営結果を左右する。
このようなマーケティングをはじめとした基本的な経営力が企業に求められる。儲かる商売があるではなく、儲かるやり方があるのである。それが企業としての継続的な力となっていけば、それはコアコンピタンスである。
この基本的な経営力に基づく経営においては、基本は現状分析である。現状を十分把握していることが必要である。とくに地域においては、大都市で成功した例をそのまま持ち込んでもうまくいかない。市場規模が小さいことが大きい。地域にあった維持可能な仕組みづくりや仕組みの発見が必要になってくる。
地域においてはこの市場の小ささに対応するため、ネットワーク戦略が重要である。
地域においては、物理的な距離の中では市場規模が小さい。そのため市場の中での深く掘り起こした草の根ネットワークづくり、物理的な市場範囲を越えてITを活用したサポータ(支持人口)によるネットワークづくりが必要になる。ネットワーク・マーケティングの実施である。
また、仕入れ先、連携グループなど、製品・サービスの提供にかかるネットワーク、製品・サービスに価値を見出してくれるサポータのネットワークなど、それぞれのネットワークをマネジメントしていくことが地域企業においてはとくに重要視していく必要がある。ネットワーク・マネジメントの実施である。
地域においては、ネットワークを活用したナレッジマネジメントを進め維持可能な主体として内発的な発展をしていくことが、地域の経営においては求められている。
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