公共におけるマーケティング
NPO関係者や自治体職員など公共部門の人に、マーケティングは何かと聞くと、「利益追求のために行われる、顧客に気に入られるための宣伝活動」であり、「公共部門においては必要ないことである」という答が返ってきそうである。
マーケティングは、「企業が、顧客との関係の創造と維持を、さまざまな企業活動を通じて実現していくこと」(石井他[2004])である。つまり、組織体がマーケティング対象者との関係性を通じて、関係性の創造、維持を図るために行う諸活動であり、その意味で、対象者の行動に影響を与えようとする諸活動である。
公共においては、一方的に行政サービス等が実施されてきた。しかし、住民への説明責任や住民の行政への参加意欲の拡大などに対応して、行政機関などにおいては、その活動について住民の理解、信頼の得られるものにしていく必要がある。
つまり、公共においては、住民のニーズを把握し、住民との関係性を大事にして、住民の理解と納得が得られる住民サービスの提供が必要なのである。そのためには、マーケティングの手法、ノウハウを活用した対応が必要なのである。
マーケティングのポイントとして、「創造的」、「適応活動」があげられる。(野口[1994])
しかし、公共においては、前例踏襲的、現状維持的な対応が多い。「創造的」とか「適応活動」という言葉の正反対の言葉である。
今後、公共部門においても、自らが、マーケティング活動の取組み状況を把握し、マーケティング活動における成果と課題を問い掛けてみること、これらの現状分析に基づいて、マーケティング活動を実施ていくことが必要ではないだろうか。
参考文献
石井淳蔵・栗木契・嶋口充輝・余田拓郎[2004]『マーケティング入門』日本経済新聞社
野口智雄[1994]『[ビジュアル]マーケティングの基本』日本経済新聞社
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