地方における公のウエートの高まり
地域間格差を考える場合、地方における民間支出と公的な支出の割合がどうなっているかを大事である。次の図は、地方圏(3大都市圏を除く道県の合計)における、県民経済計算での都道府県の県内総支出における民間最終消費支出と国・県・市町村などの政府最終消費支出、公的企業等の設備投資などの公的総固定資本形成、民間企業の設備投資などのその他の割合について、1993年と2003年の変化をみたものである。
2003年、政府最終消費支出が20.6%、政府最終消費支出と公的総固定資本形成をあわせた公的支出全体の割合は27.9%と全国平均より高くなっている。またこの10年間の変化をみると、政府最終消費支出が4.3ポイントと大きく増加している。
また、一人当たり県民所得が低い下位10県の状況をみると、政府最終消費が26.2%と多く、公的支出全体の割合は35.9%と高い割合であり、その他は8.8%と低い。また、公的支出全体の割合は、ここ10年で11.8ポイント上昇している。
このように、県内総支出における民間と公の割合は、地方において全国平均より公の割合が高く、特に下位10県において公のウエートがたかまっている。しかし、3大都市圏では民間の設備投資などの割合が高く、それが地方との差を生じさせていることが推定できる。
以上のように、1993年から2003年の10年においては、地方において公のウエートが高まっている。しかし、一人当たり県民所得の拡大は民間のウエートが重要であることが推定される。
地域の維持発展を考える場合、公と民の役割と連関性など、どのような維持発展の仕組みを構築していくのが地域にとって重要なのかを考えていく必要がある。
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