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2008/05/10

地域公共政策におけるマイナス・マーケティング


 行政改革などの公共政策の見直し・変更においては、政策対象者等に対して好まないことを受け入れさせる、社会によって必要性があるが当該個人にとって不満足な政策を受けいれてもらうための諸活動が必要となってくる。従来の、政策対象者に助成金等の給付やサービスの提供をすることについてマーケティングを実施するのとは大きく異なり、政策対象者にマイナスを受け入れてもらうマーケティング、つまりマイナス・マーケティングという概念の構想が必要となってくる。
 マイナス・マーケティングにおいては、マイナスを受け入れてもらうためのマーケティングとして、どのように諸活動を進めていくかが課題となる。それは、直接の顧客(カスタマー)および真の顧客(サポータ)に対して、与えられた条件のなかで4Pの内容をより充実したものにしていくマーケティング活動が必要であるが、やはり住民・市民などサポータやステークホルダーに対して公(パブリック)の概念に訴えるマーケティングが重要となる。5Pに関するマーケティングが重要にとなってくる。個の利益ではなく公(パブリック)の利益を考えて、対応していくということによって地域を発展させていこうという考え方に訴えていくことである。社会全体の重要性・必要性や人間の健康・未来、良心等に対して訴えていくマーケティング活動が必要である。
 この地域公共政策におけるマイナス・マーケティングの留意点としては、(1)マーケティングの機能の強化、(2)直接の顧客(カスタマー)及び真の顧客(サポータ)に対するマーケティング、(3)情報の共有と協働による地域経営、(4)5PのPersonつまりステークホルダーへのマーケティング、(5)マーケティング・マネジメントの実践、(6)地域公共政策のマイナス・マーケティングにおけるトップの役割、が挙げられる。

海野進[2008]「地域公共政策におけるマイナス・マーケティング」日本構想学会『構想』volume 7

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