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2009/07/04

地域の経営のための目標数値指標


 企業において、経営を進める場合、目標売上高や目標利益額等を設定し、それに向かって役職員一体となって取り組んでいくことになる。
 地域の経営を進める場合においても、経営目標に関する数値指標の設定が必要である。目標数値に向かって、地域の経営資源をマネジメントし、それに向かって地域の関係者が一体となった取り組みが必要となる。
 従来、地域の経営の指標に用いられていたのは、例えば、人口、人口の伸び率、昼夜間人口比、人口当たり地方税額、人口当たり生産額(出荷額)などであった。それは、量的な拡大を前提とした数値指標であり、成長、拡大志向の指標であった。アウトプットを志向した指標であった。
 しかし、人口の高齢化、過疎化が進展する地域の現状からみた場合、新たな指標が必要である。現在の地域の状況を考え、地域のこれからの内発的な発展を図っていくために、目標となる指標が必要である。環境にやさしく、地域のみんなが幸せに暮らしていくための地域づくりの指標が必要である。
 そのため、質的な内容を表す、アウトカムを示すようなものが必要であり、地域の維持可能な発展を目指す指標が必要である。
 そのような指標として考えられるのが、地域コミュニティの市民満足度である。これは地域サスティナビリティの概観評価を目指す欧州共通指標の一番目に上げられている指標であり、全般的な市民満足度や特定項目に関する満足度がある(中村剛治郎編[2005]『地域の力を日本の活力に』社団法人全国信用金庫協会p.281)。市民・住民がその地域に住んでいて、満足しているかということを問うのである。地域を経営するトップとしては、何かものをつくったり、やみくもに大きい工場を誘致するのではなく、地域に住む人の満足の向上を図るにはどうすれば良いかを考えて、行動することとなる。地域の外生的な発展ではなく、地域の内発的な発展を目指すことになる。そのため、そのほか、地域の内発的な発展を志向するサブ指標としては、住民一人当たりの地域におけるコスト、地域内循環度、ソーシャル・キャピタル度、などが考えられる。
 いずれにしても、従来の拡大数値目標志向から大転換を図って、経営を進めていく指標を検討しなおして、地域の住民の満足向上を目指した、住民の生活の質の向上を図っていく、地域の経営を進めていく必要がある。


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