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2009/07/07

地域経営とは地域に経営の視点を入れるだけでいいのか。


 「地域経営の観点からの地方再生に関する調査研究」報告書(内閣府 経済社会総合研究所、2009年2月、http://www.esri.go.jp/jp/archive/hou/hou050/hou041.html)は、地域経済の活性化のためには地域経営の視点が重要であり、そのためにはどうすればよいかということについての調査報告書である。
 そして、地域の再生や地域経済の活性化のためには地域の経営の能力を高めることが必要であり、地域に経営視点を入れ、経営能力を持った経営人材を作るということ、また、企業と同時に地方の行政や公益団体などにも経営者が必要であるとしている。
 しかし、単純に、経営能力を持った人材を育成することによって地域が活性化するのであろうか。また、経営能力を持った人が企業や地域の行政等に携わることが、地域経営なのであろうか。企業経営的感覚による地域経営というのは、1995年ごろから2002年ごろまでにいくつかの著書において言われてきたことであり(海野進『これからの地域経営』同友館、2004年、pp.1-4)、その後、地方自治体においてニューパブリックマネジメントなど経営的手法が取り入れられてきており、経営的な手法や経営的な観点が必要なのは言うまでも無いが、それのみをもって地域経営であるといえるのであろうか。
 なぜ、いま地域経営が必要となっており、そのためにはどのようにすることが必要かということが大前提ではないのだろうか。つまり、現在のような厳しい社会経済情勢の中で、今までのやり方では地域が内発的に発展していかないということから、単に経営的感覚で取り組めば、地域経済が活性化するというものではなく、地域の運営において、従来の延長ではない新しい仕組みを作り上げていくということが必要なのである。
 まず、地域の経営ということで、地域経営主体とは何でどのような状況であるか、その地域経営主体の状況からみて地域の経営の主体としてはどのようなことが考えられるのか。そしてその地域の経営主体がどのように地域の経営、マネジメントを進めていくべきなのか、どのように地域のマーケティングを進めていくのが良いのか。これらのことを充分に考えていく必要がある。(これらについては、海野進『地域を経営する』同友館、2009年 を参照)
 地域の自律的発展のためには、地域分権を進め、地域が真に自立的に運営をしていくことが、つまり、地域の経営を進めていくことが、地域経済の活性化につながっていくのである。ただ単に経営的手法やノウハウを持った人材を育て、地域で経営に当たらせるというのはなく、仕組みとしての地域の経営を構想して、そのような仕組みを、地域における地域経営主体の連携と協働によって、緩やかなネットワークによる緩やかなマネジメントを進めていくという仕組みによる地域の運動を進めていくことが、真の地域の経営である。そのような仕組みの中で、経営的手法やノウハウ、経営感覚を持った人材が地域の経営にあたっていく。
 このような真の地域の経営によって、地域が自立的かつ自律的に発展していくことができる基盤が整ったといえるのであり、この地域の経営を経営感覚と経営手法などに基づき戦略的に進めていくことが必要である。

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