地域経営における成果指標としての地域顧客満足度,地域顧客価値度
地域経営においては,従来,人口,人口伸び率,課税対象所得額などが成果指標とされてきました。しかし,人口減少時代の地域の発展において,維持可能な発展が求められ,生活の豊かさや楽しさに焦点を当てていくことが必要となってきています。
このため,地域経営の成果指標としては,地域顧客満足度,地域顧客価値度を基本的指標としていくことが重要であると考えられます。
この場合、この地域顧客満足度,地域顧価値度をどのように測るかということについては、まず,地域顧客満足度については,顧客が満足しているかどうかの意識調査,満足している結果として表れると考えられる人口の転出入の社会増減状況,人口増減状況,観光入込客数などが考えられます。意識調査に関しては,当該地域について満足している度合や住み良さを感じしている割合をアンケートする方法が考えられます。地域顧客価値度については,地域の価値をどのように知覚しているかということ,つまり,地域について価値を認めている度合いや住み続けたいという定住意向・移り住みたいという意向についてアンケートすることが考えられます。
地方自治体で公表されている市民意識調査結果を元にこの地域顧客満足度、地域顧客価値度を試算しみました。
その結果、年齢区分、居住年数区分、地区区分などによって、地域顧客満足度、地域顧客価値度が状況が異なっており、地域の構造の把握に有効であると考えられ、これらを地方自治体において詳細に把握し地域公共政策に活かしていくことが重要であると考えられます。
また、地域顧客満足度、地域顧客価値度がどのような要因によって上昇したり減少したりするかについて分析を深めていくことが求められるといえます。
それぞれの地域において、このような地域顧客満足度・地域顧客価値度による地域経営を進めていくことが、今後の地域の主体的な経営に大変有効であると考えられます。
参考文献
海野進「地域経営における成果指標としての地域顧客満足度,地域顧客価値度に関する一考察」, 日本経営診断学会論集, Vol. 11, pp.131-137. 2012年.
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