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2014/06/18

学生の移動スーパーによる過疎集落の支援

 「関西福祉大(赤穂市)の学生が、軽ワゴン車で兵庫県上郡町の山間部の過疎集落を回る“移動スーパー”を運行している。住民は月2回、若者と交流しながら買い物をすることを心待ちにし、「なくてはならない生活の一部」との声が上がる。7月で開始から1年。参加する学生たちは「地域の生活を支えている」との手応えを感じ、活動を続ける。」(神戸新聞 2014/6/14)
こんな記事が出ていました。

 これについての意義としては次の点が挙げられます。
 ・地域の課題解決につながっている。
 ・地域生活者である学生の活動である。
 ・地域の活動主体である大学の活動である。
 ・継続性がある。
 ・行政の助成がある。

 また、課題としては、次の点が考えられます。
 ・学生任せではなく、他の地域住民等の参加による仕掛けが必要ではないか。
 ・学生など参加者の学習機能・知の能力が深まる仕掛けがあるのか。
 ・単なる生活支援ではなく、課題解決に向けた活動がなされているのか。具体的には、会話(ヒアリング)→課題の把握→課題の共有、が考えられ、さらに、会話(ヒアリング)→課題の把握→効果的な対応→共有 ⇒  知の蓄積、というかたちでの活動などが重要と考えられます。
 ・買い物支援から生活満足度、生活価値度の向上へということが行われることが重要ではないか。つまり、コミュニティの再生へという活動、支援から交流へ、という活動がなされるかどうか。
 ・活動として継続性・安定性のためには、コミュニティビジネスへの模索が重要ではないか。つまり、コミュニティビジネスのための条件、課題の検討が必要ではないか。

 地域の維持・存続・発展のためには、以上の点について、考えを深めて、対応策をとっていくことが肝要と考えられます。
 つまり、地域に根差した、安定的な継続、より一層の充実、発展に向けた、具体的な検討が必要と考えられます。そのためには、マーケティングの視点、マネジメントの視点から考えてみたいと思います。

 まず、マーケティングの視点からは、
  ・生活者が価値を見出すサービス、支援は何か。それを創造できないか。
  ・活動参加者(支援する人ということでなく)が価値を見出すコトは何か。そのためには、何が必要か
  ・活動や地域、住民や参加者など関係する人々が、価値を見出すコトは何かを考えて、対応する。
これらを検討してみたいものです。
 例えば、
  ・学生、若者の視点で、地域の魅力を発見し、ミニツアーや山里探索ツアーと村の古老による山里の暮らしと歴史を聞き、山里の暮らしを体験する。
  ・交流による生きがいづくり…学生+地域外の人+住民+ (地域の関係者つまり地域のステークホルダー)
  ・地域の祭りを復活する、山菜祭りを新設する、、、
  ・域外に出ている人が参加しやすいように、ゴールデンウィークやお盆の時に開催するのも効果的。
  ・移り住む人が来やすいように、空き家の無料貸付(建物の維持がしてもらえる)をやるか地域の関係者が満足し、価値を感じるような、対応策や仕掛け・仕組みなどのイノベーションを考えれないか。
これらについて、検討する価値があるのではないでしょうか。

 また、マネジメントの視点については、
  ・継続的な活動にするためにはキャッシュフローが必要であり、そのための手法ややり方を考える。
  ・地域の資源、ステークホルダーを活用しているか。いかに活用していくか。
  ・ステークホルダーに活動内容、資金収支などの状況を開示、提示していくことが、継続性、発展性につながる。
  ・その過疎の地域の資源・人(地域外に出ている人も含む)・歴史・風俗などを活用した、仕組み、活動ができないか。何かをやることを考える。
これらについて、検討してみたいですね。
 例えば、
  ・キャッシュフローを生むために、1回200円程度手数料を取るとか、一部の商品を仕入れ販売方式として、ビジネス的要素を入れる。収入金額を地域振興イベントのために積み立てて、活用する。
  ・地域の自然を活用した芸術の実施、自然体験ツアー、の実施、地域の祭りの再生…域外に出て行った人を活用する。1月に1-2回ぐらい親の顔を見に帰ってきてもらい、その時に地域のイベントに参加してもらう。
  ・地域が維持・存続・発展していくための、対応策や仕掛け・仕組みなどのイノベーションを考え、実行できないか。地域再生に向けた経営計画など。
これらについて、具体的に検討していくことが重要でしょう。

 つまり、地域の維持・存続・発展のための活動の具体的な実行のためには、
  地域の関係者(地域ステークホルダー、学生+地域外の人+住民+ )が集い、
  情報・知を集め、アイデア・仕組み案・仕掛け案を議論・検討し、
  地域の発展のために効果的に活動を継続していくこと、
  その結果である知を蓄積していくこと、これらを次の活動の継続・発展に連関させていくこと、
が大変重要であると考えられます。

(C) 海野 進 (UMINO,Susumu) 2014

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