「地域の経営学」入門 …顧客満足を把握すると収入が増加するのか(地域が元気になるのか)…
1.顧客満足の把握
顧客を中心に据えた経営活動が大変重要ということから、まず、顧客満足を把握します。アンケート調査結果や商品等の売り上げ実績などを把握します。
ただそのとき、顧客満足度を規定する要因は何か、商品・サーブビスの内容以外にも顧客満足に影響するものを考えてみることが必要です。ただ良い商品(と生産者・販売者が考えるモノ)を提供するだけでは顧客満足度は効果的には上がるとは言えません。顧客満足の増加に関係する事柄等について考えて対応しましょう。(いろいろ考えられます。それが後述の仮説と検証のときに重要になってきます)
顧客満足に影響を与える重要なものの一つに顧客の期待があります。期待通りの満足を与えられるかです。
さらに、顧客満足を超えて顧客価値を感じてもらうことが重要です。期待以上の(小さな)感動を与えるのが価値です。
これらを示すのが顧客満足度であり、顧客価値度です。
顧客満足度の向上を図ることが大事ですが、顧客価値度を向上させることがより重要です。
顧客に満足してもらうことは基本です。しかしそれに安住するのではなく、(小さな)感動や高い満足を感じてもらうこと=顧客価値を感じてもらうために創造的に活動することです。
さらに、顧客満足や価値を感じてもらい、顧客ロイヤリティ(継続利用、他の人への推奨、など)に結びつけたいものです。そのために、日ごろの経営活動をする必要があります。いろいろと考え、いろいろと試行錯誤しながら、経営改善努力をしていきましょう。具体的な活動内容は各経営主体でリストアップして、それに取り組んでみることが重要です。
2.顧客満足度等を活かす
仮説と検討
ではこの顧客満足度等を高めるためにどうするかです。まず、現在の状況の把握です。商品・サービス全体、商品・サービスの要素ごと、企業・店全体についての、顧客満足度、顧客価値度の現状を把握することです。
次に、商品・サービスや活動内容等と顧客満足度等との関係について把握します。また、これらの商品・サービスの要素や商品サービスの内容が変化した場合どのように顧客満足度に影響を与えるかを把握たいものです。
そして、経営活動と顧客満足度等への影響についての仮説と検討・検証が大変重要です。この仮説検証と修正実行によって、顧客満足度等の向上にかかるノウハウを蓄積していきましょう。
3.顧客ロイヤリティを高めるために
ともかく結果としての顧客ロイヤリティを高めることが肝要です。
ただ単に顧客満足を把握するだけではなく、仮説と検証によって、顧客の課題解決力、デザイン力、などを向上させ、経営の成果に結び付けていくことです。また、これらの力を個人から組織全体へと広げ、組織全体の知の力として発展させていくことです。
<企業>
企業においては、顧客満足度、顧客価値度を、意識調査や販売実績・会員顧客数などの成果指標によって把握するとともに、その内容を調査・分析・検証すること、それを次の経営活動に活かしていくことです。
<地域全体>
地域については、地域顧客満足度、地域顧客価値度を行政が行っている市民アンケートなどによって算出することなどによって把握してみたいものです。それをベースに、それを活かして、地域全体の活性化や発展に活かしたいものです。
<非営利の地域経営主体>
NPO、自治会、福祉関係施設・団体等の非営利の地域経営主体においては、ただ単に管理運営活動を行ったり、関係従事者の自己満足に陥ったりするだけではなく、顧客満足を念頭において活動をしていくことが求められます。原点に立ち返って、要支援者、地域住民などは顧客であるという視線から、サービス内容や組織・団体の活動内容を見つめなおしたいですね。顧客の視点からの自己点検です。
参考文献
海野 進 著 『人口減少時代の地域経営-みんなで進める「地域の経営学」実践講座』(同友館)
第11講 元気な地域や儲かっている地域事業所ではマーケティングが行われている
第12講 課題発見、検証、改善等のマーケティング・マネジメントを進める
第16講 活性化事例における顧客価値マーケティングの実態を見てみる
第23講 地域顧客満足度、地域顧客価値度で地域をみてみよう
他
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