「地域の経営学」入門 … 小売へのリベートを増やせば売れるのか …
地域特産品販売所や地域特産品製造事業所さらには地域の消費財販売企業や消費財生産企業においては、地域の特産品等の売り上げをいかに安定的に確保していくことが課題ですね。
そのため、各地で,様々な講師により接客・販売促進実技や魅力ある店づくりなどの研修セミナー・講演会などが開かれています。
地域特産品等の売上拡大や売上確保の方策を考えてみたいと思いますが、その前に現在の生活者の消費行動がどうかを確認してみましょう。
私は、スーパー等へ行く際にはある程度買うもの(商品群・カテゴリー、ブランド)を決めていて、衝動買いをする割合は低いと考えていました。
しかし実際は、(各種調査結果によると)約9割の主婦が店に入ってから当日のメニューを決めており、スーパーにおける購買のほとんどが非計画購買(その場判断購買)という指摘がされています。
このため、地域特産品等事業所や企業の販売活動においては小売バイヤーのウエイトが高いといえます。また、広告宣伝より販売促進に力を入れる、つまり企業のマーケティング活動が店頭に移ってきていると指摘されています。
このような状況から、小売バイヤーに採用してもらうためにどうするかです。小売バイヤーの商品等の採用基準の調査によると、商品の新規性やCMなどのマーケティング施策よりも、商品本来の力が重要ということです。
そのため、地域特産品販売所や地域特産品製造事業所さらには地域の消費財販売企業や消費財生産企業においては、まず、本来の商品の魅力アップに向けた活動を、いま以上に注力することです。顧客価値を感じてもらえるように、工夫を重ねていくことが必須ですね。(例えば具体的には、商品ごとに、顧客価値の要素、顧客価値戦略、経験価値戦略、それぞれの視点から、関係者や中小企業診断士等と共に検討をしていきます。3C分析的視点からの検討も有効です。)
そのうえで、その場判断購買に対応するために、店頭におけるマーケティング(パッケージの見せ方など)に注力していくことが重要です。
さらに、地域におけるアンテナショップや直売所において、なぜ○○商品は売れて、△△商品は売れないかなどを仮説と検証によって、商品の味・機能などの向上と取扱商品の販売にかかるノウハウを収集、蓄積し、それを商品開発や小売バイヤーへのアッピールや当該商品の販促ノウハウの提供などにつなげていくことが重要ではないでしょうか。
いずれにしても、地域における事業所や企業においては、試行錯誤とチャレンジ、さらにはノウハウの知的資産化を目指しましょう。
これらのノウハウ・知的資産が地域の事業所や企業に蓄積されることによって、地域の発展力を高め、地域活性化さらには地域創生(地方創生)につなげていきたいものです。
【主要参考文献】
石井裕明・石田大典・恩蔵直人「小売りバイヤーによる新商品の採用基準」(日本マーケティング学会「マーケティングジャーナルVol.31 No.4 (2012)」)。
石井裕明「店頭でのマーケティング展開と消費者行動」(千葉商科大学経済研究所「CUC View & Vision 33号」)。
他
(C) UMINO,Susumu(uminossm@nifty.com) 2014
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