« 地域再生に向けて活動する団体が活発でいいですねではなく、地域が自主的に考えてどのように地域課題を解決するための活動をしていくか | トップページ | 地域組織における経営資源7Sの活用による地域活性化 »

2016/02/28

PDCAは何のために行われるのか

企業などの組織においてはPDCAサイクルの着実な実施が求められます。マネジメントの本、マネジメントのセミナーの講師などがよく言っていることですね。また様々な計画の実行などにおいても強く求められることですね。

企業における経営計画の策定等の実態を見てみると(関東経済産業局、2010年)、経営計画のうち年度計画(1年間)については、「策定し、従業員に示している」71.6%、「策定しているが、従業員に示していない」13.8%、「策定していない」14.6%となっています。殆どの企業においては経営計画を策定していることが分かります。
Photo

そしてこの経営計画実現をフォローする取り組みとしては、「月次計画を策定している」52.6%、「計画の達成・進捗状況を定量的に把握、評価している」51.3%、「環境変化や計画達成状況によって、柔軟に計画を修正している」30.6%、「自社の強み・弱みを分析して、その結果を反映させている」24.8%、「市場環境や経済状況等を分析して、その結果を反映させている」22.7%、「四半期計画を策定している」16.9%、「社外の専門家(経営コンサルタント等)の経営診断等を受けている」13.5%、「その他」2.3%となっています。「計画の達成・進捗状況を定量的に把握、評価している」や「環境変化や計画達成状況によって、柔軟に計画を修正している」などが多く、企業の発展のために一定程度は着実にPDCAが回っている可能性が窺えます。
Photo_2

中堅中小企業における会計システムの利用状況は(株式会社富士通マーケティング、2014年)、「経理部門のみで使用している」44.3%、「経営トップ層も会計システムを活用している」19.0%、「経理部門だけでなく経営企画部門も活用している」14.3%、「営業現場や生産現場など現場部門も会計システムを活用している」13.3%、「わからない」9.0%となっています。PDCAにおいて実績などを把握する上において会計情報を把握活用することが当然必要になってくることから、会計システムの利用は、経理部門のみではなく現場部門も活用していることが望まれますが、その点でもう少し現場部門等での利用割合が高いことが理想であると思われます。
Photo_3

このように、企業においては、PDCAサイクルは基本的なマネジメントコントロールシステムとして活用されているようです。企業以外の非営利組織、NPO、地方自治体などの地域における組織においても、ある程度はPDCAサイクルを回していると思います。

しかし、このPDCAサイクルは、実績を上げ、その結果を検討して、改善すべき点を改善して、計画通りに実績を上げるための取り組みです。しかし、計画通りの実績を上げるためにだけPDCAが行われているのではないのでは。

企業等の組織においては、その組織の目的を着実に達成するために、PDCAを回します。しかしPDCAを着実に、きめ細かく行うことによって、組織としてのPDCAを回し、着実に実績を上げていくという組織的な力、対応力が、組織内に育成されていきます。計画実績比較分析力、実績分析・原因把握力、修正改善実行力などが育成されていきます。組織における知的資産の形成、発展です。
このPDCA力、組織として着実に実績を上げていくという組織力、原因分析把握力、修正改善実行力などが、組織内に育成発展していくこと、つまり、組織において知的資産が育成され、発展していくことが、PDCAサイクル実施の真の成果ではないでしょうか。

そのような観点で、各組織において着実にPDCAを実施して成果を上げていくことが重要です。
(参考文献:海野進『みんなで進める「地域の経営学」実践講座』同友館、第7講 知を重視した地域経営活動に取り組む)

|

« 地域再生に向けて活動する団体が活発でいいですねではなく、地域が自主的に考えてどのように地域課題を解決するための活動をしていくか | トップページ | 地域組織における経営資源7Sの活用による地域活性化 »

地域経営」カテゴリの記事

企業経営」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: PDCAは何のために行われるのか:

« 地域再生に向けて活動する団体が活発でいいですねではなく、地域が自主的に考えてどのように地域課題を解決するための活動をしていくか | トップページ | 地域組織における経営資源7Sの活用による地域活性化 »