地域組織における経営資源7Sの活用による地域活性化
地域の活性化図るための地域経営においては、地域における重要な役割を果たす経営主体が成果を上げていくよう支援することが大事です。
現在のようにモータリゼーションが進展し、人々が様々にクルマを利用して旅行する今日においては、多くの人が地域の特産物等を求める際には、道の駅を訪れます。その意味において、地域産品の販売を行う道の駅が、地域の顔であり、地域の特産品の販売拠点であることから、地域の発展において大きなウエイトを占めています。
そのような道の駅についてのレポート等の事例を参考に、マッキンゼーの7Sというフレームワークを活用して活性化方策について考えてみたいと思います。
マッキンゼーの7Sは、企業における経営資源7Sの効果的な連携により発展を目指すもので、この7Sに基づいて組織の発展を図っていくことは大変に効果的であると考えられます。
マッキンゼーの7Sは、ソフトの4Sとハードの3Sに分かれます。ソフトの4Sは、Shared value (共通の価値観・理念)、Style(経営スタイル・社風、風土)、Staff(人材)、Skill(スキル・能力、ノウハウ)です。ハードの3Sは、Strategy(戦略)、Structure(組織構造)、System(システム・制度、仕組み)です。7Sは、どれか1つを強力に推し進めることによって成功するというものではなく、これらの重要な要素が適切な関係性を保ってすすめられることが重要です。
<道の駅の現状(例)>
ある道の駅については、現状の延長のような計画による経営、ありきたりの商品が多い、小集団による改善活動が行われていない、駅長(責任者)が常駐していない、担当者が休むとパンの製造が中止となる、店員が高齢化している、各部門別の人員体制及び能力別人員数が十分でない、販売員の来客対応に問題がある、全体として魅力がない、従業員一人当たり売上高が平均を下回っている、という状況でした。(あるレポート等による)
<7Sの視点から道の駅の活性化策の検討>
上記のような道の駅について、7Sの視点から考えてみたいと思います。
やり方としては、7S毎の「現状と課題」を整理します。そのうえで「現状と課題」に対応した「改善・向上策」をたて「具体的なアクション」を起こしていくことを考えてみます。
そして具体的なアクションを実行していく中で、適宜それぞれの指標(活動指標、成果指標)を把握し、成果が十分上がっているかを確認しながら取り組んでいくことが重要です。
これらを整理してみると次の表のようにまとめることができます。
ともかく、経営資源にかかる7Sの連関性を図りながら、具体的なアクションを遂行していくことがポイントとなります。そのため、地域経営においては、今回の例のような道の駅の場合においては、マネージャー(責任者)の意識改革のための研修参加、中小企業診断士等のアドバイス・指導を仰ぐなどのサポートをし、全面的な経営革新・経営改善が行われ成果の上がる経営活動が推進されるように取り組むことが肝要です。
参考文献
海野進『人口減少時代の地域経営-みんなで進める「地域の経営学」実践講座』(同友館、2014年3月) 第18講
海野進「「地域の経営学」の実践-幕末の小藩における地域の経営活動」(月刊『企業診断』、同友館、2014年6月号)
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