企業経営

2020/06/13

新たな時代の企業経営

 最近の企業を取り巻く環境は、単に需要が減少したというのではなく、一言でいうと

 「需要の構造変化」 

である。つまり需要・ニーズは従来の延長線上にあるのではなく、需要の構造(質、量、タイプ、、、)が変わったということである。従来の概念を引きずっていると、新しい生活のもとにおける生活者・企業等への感動を与えることが難しいということである。

企業がいま価値あると思っているQCDの内容を再検討・再検証する必要があるのである。新たな時代のQCD(特にC)について再検討して、対応していくことである。

 

 新しい生活のなかにおける企業経営のキーワードは、

  「安心・安全」

  「さらなる顧客価値」

の二つである。これを企業経営において、重視していくことである。

 「安心・安全」はコロナと共存して生活していくうえでは現在最も重視されていることである。3密を避けるなどの様々な工夫がされ、またそれに関連する製品・設備等への需要が高まっている。ただ、これに伴って、生産性(付加価値額÷経費)や効率性の低下することとなる。

 顧客価値については、新しい生活に伴い生産性が低下した中で従来と同程度の生産性(付加価値額÷経費)を維持して顧客満足を与えることがポイントとなる。そのため、いままでのような顧客価値ではなく「さらなる顧客価値」を提供すること=さらなる高付加価値化が必要となる。顧客に感動を感じてもらえる財・サービスの提供活動である。

 

 改善・改良では、売上の減少をとりあえず最小限に食い止めることは可能であるかもしれない(例:飲食店がテイクアウトを始める)。しかし、付加価値生産性を維持することが必要な場合は、更なる顧客価値が求められる。そのためには、新しいアイデアでチャレンジすることである、ただの改善、改良ではなく、革新、イノベーションが必要である。

 経営者の経営習慣においても、当分の間は、様々な新たな動きをに常にアンテナを張って、企業としてどのようなに取り組んでいくか、戦略をどうするかを常に検討しつづけることが、今後の企業の発展には重要となる。

 

 

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2020/04/30

戦略の見直し


 景気の大幅な後退などによって、売上高の大きな減少や利益の大幅な減少が生じた場合、当面の課題である売上高の確保、資金繰りなどに全力で対応していくことになります。
 しかし、それが一段落したら、やはり、今後のことです。今までにない状況に今後どう対応していくかを考えていかなければなりません。
 つまり、経営戦略の練り直しです。
 
1.現状の再確認
 現状の把握・再確認は、
  市場の状況
  経営資源の状況
の再確認です。市場は対外戦略の基本的対象であり、経営資源は対内戦略の基本的対象です。
 苦境に陥った時は、まずは、自社の強み、弱みの再確認です。自社の経営資源の市場開拓力(市場からのニーズへの技術的対応力、新製品展開力、顧客価値提供力など)が現在の市場状況に対応できるかです。経営資源力の現状と課題の把握です。特に今後の経営資源の対応力の現状と課題の抽出が重要です。
 次に、現有の市場の動向と関連市場の動向です。関連市場としては、自社の市場と関連する市場、自社の経営資源が活用できると考えられる市場、今後拡大すると見込まれる市場についてです。これらの市場の規模、業界構造(競合状況等、5F)、今後の動向見込みを把握したい。
 活用するフレームワークとしては、SWOT分析、Future SWOT分析(3-5年後についてのSWOT分析)、ファイブフォース分析、3C分析などです。

2.経営戦略の見直し
 経済状況、経済環境が大きく変化した今、現状の再確認の結果をもとに経営戦略の見直しが必要です。
 この場合の基本戦略としては、今後の企業の継続的な存続という観点から二兎追い作戦がポイントと考えられます。つまり、異なる分野、市場を対象にした経営、異なる市場分野にもフォーカスを当てて企業活動するという戦略を考えていくことです。
 部門、分野を二つ持ち相互連携を目指す(材料の共通化、加工方法の共通化、機械の共通化、販売時期の分散化、など)ということです。

3.具体的な検討
 経営戦略の見直しとして、新たな分野への挑戦を考える場合、重要なのは市場と経営資源の問題です。現在の市場と新たな市場との近接度と、現有経営資源と新たな分野に必要な経営資源の問題です。その中でどのような分野への挑戦をするかです。
 具体的には、「経営資源を活かして関連市場分野への参入」、「経営資源を活かして新たな市場分野への参入」「関連市場分野の新規参入」「拡大市場の新規参入」が考えられます。

Zu1

 これらの各分野における新たな分野・市場について、ブレーンストーミングを行うなど知恵を絞っていきたい。
 そして、新らたな分野への挑戦にあたっては、それぞれ課題があるります。
 新たな技術・ノウハウがあるか、それは優位性があるか。それらを新たに習得していくか、特異的なノウハウ・技術力を蓄積していけるかなどです。
 これらを具体的かつ詳細に検討していくことです。
 これらについては、新たな分野への挑戦のための検討表に基づいて、検討することが大事です。
 つまり、自社の経営資源としては現在どのような内容であるか、それが挑戦しようとしている市場に向けてどのような課題があり、その課題を解決するためにはどのようなことに取り組むべきか、ということを検討しなければなりません。

Zu2
 

4.経営体質の強化戦略・転換戦略
 これまでみてきたような検討をもとに、経営体質の強化戦略、転換戦略を決定し、着実に前進していきます。
 その際のポイントは、
  ・知的資産(技術・ノウハウ、人材)の育成強化
  ・特異分野を育てる
  ・定期的な業績(進捗実績)の検証と課題への対応の継続的な実施
です。 

 

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2020/03/20

ビジネスフレームワークをどう活かすか

 

今こそ、従来にもまして、経営体質を強化することが大事となっています。

そのためにどのようにフレームワークを効果的に活かして取り組んでいくかです。

ビジネスフレームワークについては、SWOT分析、バリューチェーン、プロダクトライフサイクル、3C分析などいろいろなものがあり、みなさんは幾つかを知っておられると思います。

 これらは、知っている、使ったことがあるという方も多いはず。これらを有効に活かすためにどうするかです。とりあえずフレームワークで分析してみるというのではなく、思いついたときにするのでは効果的ではありません。

 次の点が重要です。

 ➢フレームワークを使う経営マネジメントを定期的に実施することを経営習慣化する。

 ➢経営課題の解決に向けてフレームワークを活用する。

つまり、経営者が考える要因・課題が実際どうかを把握し(つまり仮説検証のために)経営革新に進むために、フレームワークに基づいて考えてみることです。

 

 具体的には、次のような例が考えられます。

1).部門別または商品()別に利益率が低いものがありその部分について原価の削減の徹底が必要と仮説を立てた場合
 例えば、部門別または商品()別に損益分岐点分析を行ってみる。その結果に基づいて、固定費が高い部門等について固定費のなかのムリ・ムダがないかを調べる。また限界利益率が低い(変動費比率が高い)部門等については、変動費が高い原因・要因=ムリ・ムダを調べて原価の低減を図る。

2).部門別または商品()別に利益率が低いものがあり利益の貢献の度合に応じた効果的なマーケティングを行っていないと仮説を立てた場合
 例えば、部門別または商品()別にクロスABC分析や利益貢献度分析を行ってみる。その結果に基づいて、粗利益がAゾーンの商品()や利益貢献度が高い商品(群)について広告宣伝や販促推進の強化を図るなり、商品()別にマーケティングの4P・4Cの視点の見直し分析をし、利益貢献の低い商品の廃止などの商品構成の変更、高付加価値商品への転換に向けた商品ブラッシュアップなどに取り組む。

3).売上高が低いのは生産性に問題があり、経営資源の一部が有効に機能していない可能性があると仮説を立てた場合
 例えば、自社の経営資源についてマッキンゼーの7Sに基づいて経営資源ごとの課題・要因の分析を行ってみる。その結果に基づいて、課題や問題点が判明した経営資源について、長期的・短期的な視点から改善・改革に取り組む。

4).売上高の停滞・減少について、商品()別に客数、客単価に課題があると仮説を立てた場合
 例えば、年代別・商品()別の客数、客単価(及びその伸び率)の2軸マトリックス分析(2軸散布図による分析)を行い、年代別、商品別の売れない要因・課題を把握する(客単価が低い要因、客数が伸びない要因など)。さらに客単価が低い要因、客数が低い(伸びない)要因について、3C分析、SWOT分析を行って、要因・原因の深堀を行い、改善・改革に取り組む。

 

 いずれにしても、フレームワークを活用して、経営革新に向けて取り組み経営体質を強化していきたい。

 

 

参考文献:

海野進『経営課題の解決に向けたフレームワーク活用-地域中小企業、非営利的組織の持続的発展のヒント』三恵社

  

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2020/02/16

経営習慣を見直そう

 

日ごろの習慣が結果に表れる

 我々には、生活習慣病があります。毎日の生活習慣が、高血圧、糖尿病などのマイナスを引き起こすということです。この場合、お医者さんに言われるのは、生活習慣の見直しです。毎回の食事量を減らす、毎日ウォーキングをするなど生活習慣を改善することです。

 

自社の経営においては経営習慣に課題はないか 

 中小企業の経営においても、売上の低下、営業利益の赤字などの状態が発生して、改善されない場合は、毎日の経営習慣、毎週の経営習慣、毎月の経営習慣、3か月ごとの経営習慣、毎年の経営習慣…これらの経営習慣のやり方に問題・課題があるということでしょう。

 成果が出ない経営習慣、方向性が違う経営習慣、方向性は合っているが中途半端に行われている経営習慣があるのではないでしょうか。

 例えば、これらは、生活習慣病に当てはめると、

成果が出ない経営習慣=運動をしているが運動後のビールが止められない、

方向性が違う経営習慣=食事は減らしているが糖質が減っていない、

中途半端に行われている経営習慣=ウーキングはしているが時間が短い、

などのようなものではないでしょうか。

 

経営課題に応じた経営習慣に取り組む

 経営習慣には、日別、週別、月別、年別に取り組む必要があります。また、マネジメント、マーケティング、生産・原価管理、人的資源管理など分野別にも経営習慣に取り組むことが必要です。経営課題に応じた経営習慣(利益拡大に向けた経営習慣、売上拡大に向けた経営習慣、顧客との関係性重視の経営習慣など)も考えられます。

 

成果が出る経営習慣にチャレンジ 

 いずれにしても、経営改善を図るためプラスの効果がある経営習慣を定着させることが大事です。経営習慣に基づく経営活動を行い、成果が出るまでチャレンジし、工夫を続けましょう。経営習慣に取り組み、成果が改善されなかったら、何が良くなかったのかを考えてその経営習慣は変えてみるということです。

 

参考 経営習慣の例

中小企業の経営における経営習慣としては、例えば、次のようなものがあります。

日別習慣 

       品目別販売実績数量(品目別数量、顧客特性別品目・数量、、)の記録

       生産実績、在庫状況(製品別、仕掛品別、原材料別数量、、)の記録

    など

週別習慣 

       品目別販売実績数量(品目別数量、顧客特性別品目・数量、、)の週間まとめと分析、計画と実績の差異分析、対応策の検討・実施

       生産実績、在庫状況(製品別、仕掛品別、原材料別数量、、)の週間まとめと分析、計画と実績の差異分析、対応策の検討・実施

    定例部課長会(1週間の実績把握と今週のポイント・重点の確認など)

など

月別習慣 

       品目別販売実績数量(品目別数量、顧客特性別品目・数量、、)の月次まとめと分析、計画と実績の差異分析、対応策の検討・実施

       生産実績、在庫状況(製品別、仕掛品別、原材料別数量、、)の月次まとめと分析、計画と実績の差異分析、対応策の検討・実施

    不良率の要因把握と対応策の検討・実施

       納期管理の記録(納期の状況、クレームの状況など)

      月次定例部課長会(今月の実績把握と次月のポイント・重点の確認など)

など

 ※(このほか経営部門別、経営課題別のものもあります。)

 

 

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2019/05/18

経営改善に向けた実践ステップ -売上低下等への対策の実施-

 

 売上が減少し、利益も減少する。これは、中小企業によく起こる事態です。

 これに対して、どのように改善に取り組むかです。

 取り組みとしては、①売上等減少の要因の分析・検討、②要因の特定(推測)、③経営改善ための対策・戦略アクションの策定、④数字的な裏付けのある対策・戦略アクションの実行、という手順で進めることが効果的と考えられます。

 

 

<その1> 売上等の減少の要因を探る

 まず、売上減少・利益減少の要因を探ることが必要です。売上等減少の要因の分析・検討の実施です。そのため、

  ・事業実績の分析

  ・SWOT分析

を行いましょう。

 

 「事業実績の分析」は必須です。事業実績データが蓄積されていればその内容の分析・検討です。無ければ既存資料の中からデータとして使えるものをエクセルなどによって、集計し分析します。

 事業実績については、商品(部門)別、得意先別などの売上実績、利益実績の年計推移グラフをみてみましょう(年計グラフは、月次単位で、過去1年間の売り上げを集計して、その推移をグラフしたもの)。これによって、どの商品の売上が減少しているのか、それは何故かを考えてみます。また、得意先別や地域別にみて、商品以外の売上等減少の主要な要因(得意先別の商品構成の変化など)を探ります。必要に応じて、簡単な相関分析なども行いたいものです(エクセルで簡単にできます)。

  

 次に「SWOT分析」によって、売上減少、利益減少の要因を考えます。SWOT分析は、

・経営の内部にかかるS(強み)W(弱み)

・外部(経営)環境にかかるO(機会)T(脅威)

を分析するものです。SWOT分析はTOWSの順に分析することが有効です(外部環境から分析)。

 

 具体的には、まず、当社のビジネスにかかる機会、脅威の状況の把握です。当社のビジネスにかかる市場と競合がどのように変化して売上減少、利益減少をもたらしているのか…要因を把握します。

 また、ビジネスとしての強み、弱みを当社の内部(経営資源等)から分析・把握し、それが売上の減少、利益の減少とどのように結びついているのかを把握します。

 

 このように、外部および内部の視点から、売上等の減少要因を把握します。

 

<その2> 売上等の減少の要因を特定(推測)

 事業実績の分析及びSWOT分析に基づいて考えられる要因について、検討・分析して売上等減少要因を特定します。売上等の減少の主要な要因の特定(推測であり仮説)です。

 そして、主要な要因が特定されれば、その要因別の売上等減少への影響の度合いを推測しましょう。例えば、「A要因による売上減が6-7割を占めている」、「B要因による売上等の現象が1-2割程度である」などの推測(推定)をします。

 これは問題意識の明確化になり、影響の程度を推測すれば、改善による効果も考えることに繋がります。

 

 

<その3> 経営改善のための対策・戦略アクションを策定

 これらの分析結果を踏まえて、売上減少の主な要因ごとに、経営改善のための対策・戦略アクションを検討し決定します。例えば、商品の価値の再構築(ポジショニングの再確認とブランディングなど)、販売・営業にかかる体制・仕組みの見直し、顧客への訴求力の向上(POP,チラシ、広告など)などが考えられます。

 

 この経営改善のための対策・戦略アクションは、

  ・顧客の視点

  ・プロセスの視点

  ・人材の視点

  ・革新・開発の視点

の各視点でのアクション(取り組み)を策定します。

 

 これらについては、具体的な計画内容が求められます。金融機関においても、ただ頑張りますでは納得してもらえません。具体的に何にどのように取り組むかを説明しないと納得してもらえません。そしてそれはデータで示す必要があります。具体的な対策内容と効果、これらに関する数字的な説明が重要になります。

「売上拡大の事業を進める」という決意表明に過ぎないものではなく、「○○地区重点販促 ○○千円の増加、○×商品の開発・販売 ○×千円の増加、2名体制で営業をする」などです。

 

 

<その4> データに基づく実効性が高い数字的な裏付けのある対策・戦略

 以上の売上等の減少対策・戦略アクションが企業にとって効果的なものでないといけません。

 そのためには、「数字的な具体性のある対策・戦略アクションであること」、「売上重視ではなく利益重視の対策・戦略であること」、「全体のビジョンに基づいた全体及び個別の対策・戦略であること」がポイントになります。

 つまり、その対策・戦略アクションにおいて、具体的な行動計画であり具体的な数字的な売上・利益計画であることです。データで示すことです。事業実績データを基にした商品(部門)別売上計画、利益計画などです。事業実績のデータ分析結果を反映させた経営改善計画とします。

 また、売上高重視ではなく利益を重視した対策・戦略アクションであることです。顧客価値戦略、付加価値の向上戦略の実行です。

 さらに、全体のビジョンがありそのビジョンに基づく個別の対策・戦略アクションが明確になっていることが、大変重要です。全体的な経営方針・戦略があり、その中での位置づけが明示されておれば、全社的に意欲的にアクションが実行されます。それが成果、KPIkey performance indicator、主要業績評価指標)の達成に繋がっていきます。

 

 以上のように、利益の確保・増額を目指した、データの根拠のある実効性ある経営改善・経営革新を進めていくことが、中小企業の発展につながります。

 

 

                             海野進中小企業診断士事務所

 

 

 

(参考文献)

海野進(2017)『経営課題の解決に向けたフレームワーク活用-地域中小企業、非営利的組織の持続的発展のヒント』三恵社

牧田幸裕(2009)『フレームワークを使いこなすための50問』東洋経済新報社

嶋田利広他(2011)『SWOT分析による経営改善計画書作成マニュアル』マネジメント社

 

#海野進中小企業診断士事務所

 

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2018/10/12

知的財産を守り・活かす経営を進める

 知的資産経営は、「従来のバランスシート上に記載されている資産以外の無形の資産であり、企業における競争力の源泉である、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランド等)、組織力、経営理念、顧客とのネットワーク等、財務諸表には表われてこない目に見えにくい経営資源」=知的資産を、育成・活用して企業を発展させていく経営です。

 知的資産は特に難しいものではありません。幅広いものです。技術的なノウハウから営業マンの営業力、小集団による現場改善力なども含みます。これら企業を発展させてきたものです。

 中小企業としては、知的資産を確認し、発展させ、活用していくことです。
 そのため、技術的なノウハウなどは、他社にまねされないようにすることが競争に勝っていくためには、重要です。

 特に中小の製造業にとって、製造のノウハウは生命線です。
 守るためには、ノウハウを営業秘密として管理していくことが必要です。

 自社のノウハウなどの知的資産をどのように、守り、育て、活用していくかを確認してみましょう。
 
 
 
 具体的には、不正競争防止法による営業秘密としてガードするためには、

  秘密として管理されていること(秘密管理性)、
  事業活動に有用な情報であること(有用性)、
  公然と知られていないこと(非公知制)

が必要であるため、マル秘として表示するなどして管理していることなどの取り組みが企業において求められます。

 また、従業員から流出しないようにする取り組みが最も重要です。 
 従業員に対しては、秘密保持誓約書(契約書)を締結することが望ましいといえます。
 さらに、従業員と良好な関係を構築・維持するに、 会社は、従業員とのコミュニケーションの向上などにより、あらゆる機会をとらえて従業員の愛社精神、会社への求心力を醸成するように取り組むことが重要です。

 中小製造業の持続的発展のためには、ノウハウの流出を防止するための取り組みが大変重要です。


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2018/09/10

粗利益率の改善ステップ

中小の製造業の経営課題である利益が出ないということを改善するためには、次のようなステップで分析検討を進めた行きたいものです。

 

1.部門別等の売上粗利益の算出
 まず、製造原価(材料費、労務費、経費)を部門別、製品別に把握することです。
部門別、製品別に詳細に把握ができない場合は、大まかな割合で推計して、製品別、部門別等の売上粗利益率を算出して把握してみましょう。
 これによって、どの部門、どの製品が課題かをあたりを付けます。
(問題製品等や課題等についての仮設の設定です。)

 

2.詳細な分析を進める
 製品別、部門別に詳細な原価分析をします。
具体的には、製品別、部門別に直接材料費、直性労務費、直接経費がいくらかを経理分門の参加も得て、把握・分析します。必要に応じて、製品ごとの工数、製品ごとの工程ごとの所要時間と投入した人・時などを把握・分析します。

 

3.生産性の把握・分析
 以上の分析検討を基に、製品別・部門別の生産性を把握・分析します。
  労働生産性=生産量/人・時  
  原材料生産性=生産量/原材料使用量
  設備生産性=生産量/設備価額 
                など

 

4.製品別・部門別粗利益率の正確な把握と工程・作業等の見直しへ
 製品別・部門別の粗利益率、生産性の把握・分析結果から、製品別・部門別の工程・作業等のムダ、改善すべき点を、作業分析、工程分析、小集団経営改善活動、ブレーンストーミング、などによって抽出します。(拾いだします。)
 それをもとに、工程の改善、作業の改善に結びつけ、粗利益率の改善を図ります。

 

 

ポイント

・経営者が率先して、取り組む。
・全員参加で取り組む。
・目標を設定して、みんながやる気を持って行うよう、見える化、仕組み化に取り組む。
  (フレームワーク、図解化を活用)

 

 

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2018/08/31

経営革新等支援機関


☆認定支援機関

近年、中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、「中小企業経営力強化支援法」に基づき、 中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。

中小企業に対して専門性の高い支援を行うことができる機関であることを、国が認定するものです。

認定支援機関に相談することによって、
現状を正しく理解し、課題に対して的確な対処ができるようになるなど、経営の現状に沿った解決策を見出すことができます。

さらに、
①保証料の減額や補助金申請などにより、資金調達がしやすくなる
②事業計画を策定することで現状を把握し、対応策を明確化できる
③海外展開に伴う資金調達がしやすくなる
などのメリットがあります。


☆様々な支援

中小企業においては、「自社の財務内容や経営状況の分析を行いたい」「事業計画を策定したい」「取引先を増やしたい」「販売を拡大した」など、中小企業・小規模事業者が抱える悩みは様々です。

高い専門性をもった認定支援機関が、中小企業・小規模事業者の悩みについて支援をします。

①自社の経営を「見える化」したい
企業に密着した、きめ細やかな経営相談から、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを行います。

②事業計画を作りたい
経営状況の分析から、事業計画等の策定・実行支援を行います。また、進捗状況の管理、フォローアップを行い、中小企業の経営支援の充実を図ります。

③取引先を増やしたい、販売を拡大したい
認定支援機関のネットワークを活用して、新たな取引先の増加や販売の拡大に向けてお手伝いします。

④専門的な知識についてアドバイスがほしい
海外展開を考えている、知的財産の管理が不安・・・。専門的な知識が必要な場合には、最適な専門家を派遣し、認定支援機関と一体になって支援します。


⑤金融機関と良好な関係を作りたい
計算書類の信頼性を向上させ、資金調達力の強化につなげます。

海野進中小企業診断士事務所も、この経営革新等支援機関の認定を受けました。
当所としては、更なる中小企業・小規模事業所の経営のサポートを進めていきます。

お気軽にお問い合わせください。

  

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2018/04/09

廃業とならないように

 業種別の開廃業率は、図の通りです。(2017年 中小企業白書)


Photo


 廃業率が高いのは、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽表」「小売業」などです。小売業については、事業所数規模も大きい状況です。

 廃業率が低いのは、「医療、福祉」「運輸、郵便業」「教育、学習支援業」「その他サービス業(複合、サービス)」「製造業」などです。医療、福祉」「その他サービス業(複合、サービス)」「製造業」は、事業所規模も大きい状況です。

 廃業率が高い業種(飲食サービス業、小売業など)は、他との競合も激しく、経営ノウハウによる差別化が図りにくいということが考えられます。

 廃業率が低い業種は、専門的な知識や技能(医療)が必要であり、ノウハウ等が蓄積されることにより強みとして力を発揮してくることとなり、新規参入も比較的しにくいことなどが考えられます。

 何か自分の気にいった物を仕入れて売る、美味しい料理を出すと商売になるという発想から開業しても、アマゾンをはじめとしたインターネット・通信販売が強い中で特色が出せない、様々な魅力的な飲食店が経営している中で、継続的に売上高・利益を確保しにくいという状況ではないでしょうか。

 商売を継続していくためには、強み、コア・コンピタンス、知的資産経営、顧客価値の提供などが必要です。これらに対応するために、競合等との関係での強み弱みの確認、知恵・工夫などの知的資産の確認、顧客価値の提供の視点による強みの有無などを確認し、その上でこれらで確認した強みを育成発展させる取り組みを継続していくことが必要です。

 そのためには、フレームワークを活用していきましょう。

 まず、SWOT分析、3C分析などで現状と課題を確認します。

 課題解決に向けては、SWOTクロス分析、知的資産を活かす経営戦略フレームワーク、知的資産セグメント分析、ポジショニング分析、マーケティングの4P分析などのフレームワークを活用して、今後の方向性、戦略を検討して、実行します。

 実行に当たっては、毎月その結果を確認し、計画と結果の差異を分析し、改善を行います。これらを継続的に実施することによって、経営力を蓄積、発展させていきます。

 フレームワークというツールを有効に活用して、経営の改善を目指しましょう。


参考文献:
海野進『経営課題の解決に向けたフレームワーク活用-地域中小企業、非営利的組織の持続的発展のヒント』三恵社

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2017/10/31

拙著の正誤表

拙著
海野進『経営課題の解決に向けたフレームワーク活用 ―地域中小企業、非営利的組織の持続的発展のヒント―』(三恵社)において、誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

正誤表は以下のところにあります。よろしくお願いいたします。
「正誤表」


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